SPCの醍醐味は仲間との出会いに尽きる
SPCへの入会前の状況
高校卒業後、服飾メーカー勤務を経て美容学校に入ったのは22歳の時です。自分で商売をするという希望を実現するために転身しました。私が小さい頃、母が美容室に行くと1日がかりでした。「活気があって女性を美しくする場所」、美容師を目指したのもそんな幼い頃のイメージがどこかに残っていたのかもしれません。お客様に喜んで頂ける素晴らしい仕事という矜持は、修業時代も独立してからも変わることはありません。
50年近い歴史を持つSPCには、洗練された多くの考え方がありますが、「経営者であるためには白衣を脱げ」も、その一つです。しかしSPCに出会う前の私は独立してからも、一人の美容師としてサロンに出て、スタッフと共に働くスタイルを続けていました。そして多くの経営者が突き当たる壁が待っていました。店を大きくするにはどうしたらいいか、スタッフ教育はどうしたらいいか。そんなふうに悩むことが多くなっていました。向上心はあっても空回りしていた31歳の頃のことです。
入会の動機について
そんなとき、SPCに入会した美容学校時代の同級生が、どんどん成功していく姿を目の当たりにしました。支店の出店も順調で、経営者としての発言も自信にあふれているのです。私も独立後は本やセミナーを通じて自分なりに勉強を続けました。それでも物足りなさを埋めることができず、何かベースとなる理念のようなものが必要だと感じ始めていました。一人で頑張っても成果が見えない状態の中、彼の変化を見た時、SPCには何かあると思いました。ただ、可能性の一つとして気軽な気持ちで入会したのが正直なところです。その時はまだSPCが人生を大きく変えることなど予想もしていませんでした。
SPCでの活動の軌跡
入会して最初に試みたのは、私自身が変わることでした。私は「白衣を脱いで」現場を離れました。経営者としてのパワーをスタッフ教育に集中していったのです。サロンの業務をスタッフに分散し、それぞれに責任を与えました。そのためには、彼らの良さを見抜く力が要求されます。「人の良い部分を感じられなければ、人を育てられない」というのもSPCで学んだことです。スタッフ教育の本気の取り組みは、私自身の成長につながり、サロンの売上も上がっていきました。2店舗目の出店まで時間はかかりませんでした。現在は愛知県で「極上のリゾート」をコンセプトにした6店舗の展開をさせて頂いています。
スタッフ教育の成果は店販にも表れました。私のサロンがSPCの全国店販大会の上位に名を連ねるようになると、見学の同業者が増えました。サロンではお客様の見えるところには商品を置きませんし、張り紙もしていません。売り方に必殺技があるかと聞かれますが、そんなものはありません(笑)。ただ言えることは「きれいにしたい」という気持ちを根底に持つことです。お客様との関係をきちんと築かなければ営業力は身に着きません。お客様に支持されない美容師は生き残っていけないのです。私はスタッフに力を付けさせたい一心でロールプレイングを繰り返し、コンサルテーションの指導をしました。店販が上がると面白いことに指名売上も上がっていきました。私は美容師という仕事は究極のサービス業だと思っています。サービスの本質は普遍的なものでしょう。それには人間力の強化、人間形成が不可欠な要素となってきます。そしてそれは、SPCが掲げる理念そのものに他ならなかったのです。
SPCに入会してから一番嬉しかった事
SPCの醍醐味は仲間との出会いに尽きるでしょう。同じ立場の者同士で切磋琢磨もするし、情報交換もできます。経営者としての研鑽の場があるのは、ありがたいことです。先輩たちは自分の経験を惜しみなく披露してくれますし、若い会員たちの感性も刺激になります。 尊敬できる先輩や仲間と接することで視野が広がり、経営者としての目線がどんどん上がります。その上がった目線で自分のサロンやスタッフを見ると足りないところが分かるんです。それを補う作業を繰り返すことで、経営者としての力が着きました。私は、会社とはスタッフの夢を叶える場所だと思っています。会社を大きくする意味はそこにあります。うちのサロンには勤続20年のスタッフを筆頭に10年選手が多いのですが、これからも彼らの夢の居場所を提供していくことが私の仕事です。経営者は本来孤独なものですが、SPCで同じ目標を持つ仲間に出会えたことは、しみじみ幸せだと思います。
今後の活動への抱負
SPCは2016年には50周年を迎えます。これだけ長く続いているのは、SPCが人に焦点が当たっている生きた組織だからでしょう。歴代理事長はじめ役員も任期を終えたら無関係ではなく、フォローしながら組織を盛り上げています。私も第25代理事長退任後も執行部を支える新たな立場で関わり続けています。なぜかと言えば、サロン経営者として一人の人間としてもSPCはかけがえのないものだからです。SPCとの出会いが、どれだけ自分を磨いてくれたか、そしてサロン経営を発展させたか、私は身を持って経験してきました。この素晴らしさを全国のサロン経営者に伝え、仲間を増やすのは私たちの使命であり、美容業界にとっても意義のあることだと思っています。少しでもチャンスを感じたのなら実際に味わってほしいと思います。この業界を発展させる、そんな気持ちを持った人たちとぜひ仲間になりたいと思っています。

- 2013.10.11
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